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4 まとめ

 

(1) MDPC法

今年度までの調査研究により、散布量が少なく、人為的なかく拌を必要としない自己かく拌型油分散剤の要求性能を的確に評価するための試験法としてMDPC法を確立した。

係る経緯等については、本報告書に詳細に纏めているが、分散性能の調査結果からも、MDPC法が的確な評価法であることが次のとおり示された。

1) かく拌を必要とする従来型油分散剤を使用してMDPC法による調査結果は、通常型Aは8.6%、D1128は14.6%の低い分散性能であった。一方、海外で普及している外国製の自己かく拌型油分散剤についても比較のためMDPC法による試験を並行して実施した。その結果、S-7とほぼ同等の分散性能であった。

このことは、MDPC法が、油分散剤の散布量が少なく、人為的なかく拌を必要としない条件における的確な評価法であることを示した。

 

2) 粒径分布の調査において、静置時間10分後に採取した混合液の約97%が粒径30μm以内にあり、ほぼ安定した状態の粒子で構成されていることが分かった。

このことは、MDPC法の分散率による評価基準が、粒径分布の面からも適切であることを示した。

 

なお、試験油については、最近の油流出事故の態様を踏まえ、3,000cStのC重油を用いたが、今後も同一性状のものを確保することは困難であることから分散性能の判定基準に検討の余地が残る。

なお、MDPC法については、一連の操作・試験手順等を参考資料VIに纏めたところであるが、さらに、これらをビデオテープに編集し今後の参考とした。

 

(2) S-7の性能

今年度までの調査研究により、自己かく拌型油分散剤の要求性能を満足するS-7が開発された。係る性能試験の結果から明らかになったS-7の具体的な有効性を纏めると次のとおりである。

 

1) S-7は、その中に配合された両親媒性溶剤の力によって、流出油とS-7の界面活性剤を混合し油を超微粒子として分散するため、実海域においては、散布後に自然の風浪等で拡散し、人為的なかく拌を必要としない。

 

2) S-7の分散性能は、3,000cSt以下の重油及び原油に対し低散布量(4%程度)で効果を発揮し、従来型の油分散剤と比較して、1/4から1/5の散布量で済む。

 

 

 

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