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II-2 油防除資機材以外で油防除に有効な資機材の調査

過去、大規模流出油事故においてガット船、強力吸引車やコンクリートポンプ車等本来別の作業目的を有する資機材を使用し防除作業を実施しているが、その資機材の油防除作業に際しての性能等については正確に報告されているものが無く、油防除作業にどのような性能を有しているか不明である。平成9年1月に発生したタンカーナホトカ号流出油事故では、延べ800台を越える強力吸引車等により沿岸部に漂着した油を短期間のうちに千トン単位で回収しているが、どの程度の揚程まで移送することが可能なのか、また、どの程度の粘度まで回収可能なのかなどの重要な項目については把握されていない。

このため、強力吸引車の性能を把握するため、水及び油水の吸引性能を調査することとし、移送距離と揚程との掛け合わせにより試験を実施した。

なお、調査当初、ナホトカ号流出油事故の防除作業に用いられたコンクリートポンプ車の吸引性能試験も実施する予定であったが、同車の揚程を変化させることが可能な実験場を確保することができず、やむを得ず調査を断念した。

 

II-2-1 強力吸引車の性能調査

 

1 試験条件等

(1) 供試体等

強力吸引車吸引性能試験(以下「性能試験」という。)は、我が国に台数が多く出回っている大型車を供試体として実施した。性能試験に使用した供試体等の要目は次のとおりである。供試体を写真2-1-1に、ホッパータンクを写真2-1-2に示す。

供試体

型式;SR-11BWP

吸引風量;80m3/min(100mmHg時)

負圧;-700mmHg

ホッパータンク

全容積;1.0m3

実容積;0,8m3(満量時の容積)

吸引ホース

作業用ホース;φ100 60m

連結用ホース(耐摩耗);φ100 40m

ラフタークレーン車

最大吊り上げ重量;25ton

最大吊り上げ高さ;36m

 

 

 

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