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現在ヘリコプターによる救急システムが整備されつつあるが、ヘリコプターの運行不能(夜間・点検整備期間中・気象条件等)の場合を考えると、瀬戸内海の三橋時代、加えて高速道路の整備により長距離・広域的な救急搬送も増加するものと予想されるので、この種の搬送におけるマニュアル作りを早急に検討する必要に迫られている。

最後に、女児は京都大学病院での手術を無事終え、現在七歳で通学していると聞いている。

搬送途上、お世話になった京都市消防局の方々には末筆ながら、紙面をもって厚くお礼申し上げます。

(赤澤平典)

 

予防・広報

人々が安心して暮らせるまちづくりのために

延岡市消防本部(宮崎)

 

はじめに

「故郷に帰り来りて先づ聞くはかの城山の時告ぐる鐘」と郷土の歌人若山牧水が詩った延岡市は、宮崎県の北部に位置し、市の西部から北部にかけて九州山脈が県境に横たわり、東部は日向灘に面しています。市内には五ケ瀬川・大瀬川・祝子川・北川の大きな川が流れ太平洋に注いでいる水と緑の自然豊かな都市でもあります。

また、当地方は気候温暖であるが、夏は台風銀座と呼ばれるほど毎年のように台風が襲来し、平成九年には五〇年ぶりという大洪水に見舞われました。

しかし、年間の平均気温は一六度前後で、降水量は二千ミリを越えますが、晴天日数が二三〇日前後と日照時間は日本一です。

当市消防本部は、昭和二三年三月に消防組織法施行と同時に自治体消防として消防ポンプ自動車二台、職員一八名体制で発足し今日に至っております。

平成九年六月一日からは隣接する北方町及び北川町との間で事務委託方式による広域消防を開始し、管轄面積・七六四・三八km2、人口・一三万五千人有余の生命、身体、財産の保護に当たっています。その消防戦力は、一本部・一署・一分署・二出張所、職員数一六八名の常備消防と六ケ分団・五八ケ部・一、一八五名の非常備消防を配置し、職・団員が一体となり「人々が安心して暮らせるまちづくり」を目指して積極的に予防消防を進めています。

 

一 危険物施設の安全確保

延岡市は市内の中心部を二つの大きな清流が流れ、川南・川中・川北と三つの地区に分かれ、化学工場と住宅街が広がる企業城下町です。

当消防本部管内においては、化学工場が多く、必然的に危険物を取り扱う製造所等も多く存在しており、特に一類から六類までの製造所や一般取扱所があり、保安の確保に万全を期しているところであります。

危険物施設は、事業所のなかでそれぞれ独立して存在するものではなく、互いに連携し一体として機能していくものであることから、危険物を取り扱う施設・設備等における安全管理体制の整備強化と地域社会の安全確保を図ることを目的として、昭和四三年に延岡市と隣接三町(北川町、北方町、北浦町)の事業所等により延岡地区危険物安全協会が発足、現在一四六事業所等が加入し、危険物の取り扱いに対する防災意識の普及・啓発事業に力を注いでいます。

特に、危険物安全週間中に実施しています景品の当たる「危険物安全週間クイズ」には毎年多くの市民から応募があり、好評を得ております。

 

二 女性の感性を活かした防火診断

当市においても、全国同様に高齢化が進み、六五歳以上の高齢者は五人に一人の割合となっております。

このような地域社会の変化は、独り暮らしの高齢者など災害弱者への対応について、安全で安心できる地域社会の実現に向けての対策が急務となってきました。このような中、平成七年四月二日、当市消防団に女性消防隊が発足し、二九名が女性の持つソフトな面を活かした予防消防の充実を目標に掲げ、火災予防行事への参加や独り暮らしの高齢者を対象とした住宅の防火訪問を実施し、防火意識の普及啓蒙に努めています。

 

 

 

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