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私は昔、政党にいたことがあるのですが、政党が文化政策をつくるということについてさんざん議論したことがある。一番文化政策を持っているのは共産党です。それは一貫した方針があって、文化人を自分たちの政治思想の中で使うための道具として囲い込んだ。公明党の場合ですと、創価学会が代わってやっているから必要ない。私は社会党だったから社会党はどうするのだ。まず政党が文化政策をつくろうなんていうのはおこがましいというところから、さんざん議論したわけですね。そうは言っても、何かしら違う。ということで、確かインフラ整備に力を入れようと。税制も一つなんです。そういうことがあったと思うんです。だけどもここでもおっしゃっていたように、文化ということと、さらに詰めてアート、芸術ということになると、ますますわれわれから遠い社会になっちゃうんですよね。それを先生がおっしゃる市民による市民のための政策として形成する場合に、評価する側がない。それがちゃんとしていない。していなくてもいいのかもしれないから、ある程度はっきりしないと、芸術性なり、文化性なりというものが、ちょっと勝手にそれぞれでいいんじゃないかということになってくる。そこに価値基準を設けること自体、芸術の冒涜なのかもしれません。

市村 価値基準、芸術の冒涜なんてないと思います。各政党に向かって、文化政策はありますかというアンケートを出したことがありますが、社会党は本当に返ってこなかった。共産党は真っ先に返ってきたというのは事実なわけです。

逆にヨーロッパなんかだったら、当然のように返ってきて、政党は文化政策を持っています。ヨーロッパと比較してもしょうがないんです。恐らくはそういうものに関心のある議員さんたちがあまりいなかったということで、本来的には持つべきじゃないかと思います。

A 持つべきでありたいと思うんです。ちなみに私は民主党なんですが、もともと保守系の所属の民主党なんですが、われわれが政権をとったらどういう政策をしますかという、その取りまとめをやっている中で、やっぱり文化政策というのが出て議論になるんです。確かに今まで関心が薄かったというのは事実。少なくとも、うちに関しては事実だと思います。具体的に文化政策をするべきだと思ったが、さっきもおっしゃったけど、どこまで入り込んだらいいのか。インフラ税制というのはわかる。だけど例えば、芸術の高等機関みたいなのをつくるというときに、それこそさっきおっしゃったように、たどっていくと人がいないわけですから、どうやってつくるんだという問題があって、そこまで踏み込むべきなんだろうか、どうなんだろうか。

 

 

 

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