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逆に言うと、音楽でも何でもそうですが、全部海外のものを追いかけて、追いかけていったときに海外のものはどんどん先へ行ってしまう。追いついたと思ったらもう先へ行ってしまうということを百何十年繰り返しています。やはり今、そういうものを全部一度取っ払った方がいいと思います。

A 私もちょっと文化庁の政策はわからないんですが、この間、映画関係者の集まりがありまして、呼ばれて行ったんですが、何人かの監督さんと飲みながら話をしていたわけですけど、何を希望しているのか。要はさっきおっしゃっていましたが、撮影所とかつくってもらいたいんだと。それはそれでわかる。そういうことだったらお手伝いできる。あと何なのかなって。

市村 だから今そういうことをやってもだめだと思うんですよ。むしろその前、手前なんです。映画として今何が足りないのか。どうすればいいのかということをまずやるべきなんです。それなしで、当事者たちは、自分たちは日々いろいろやっているから、これが欲しい、あれが欲しいとなっちゃうわけです。そうじゃなくて、もっと全体像としてのリサーチが必要です。

A そうすると、結局僕らというか、官僚あるいは政治家がどこまで入っていけばいいのかというところが難しいところだと思うんです。そういう部分以外。ですから、おっしゃるとおり撮影所の前の研究、確かに邦画なんか全然だめなわけです。例えば、どうやったらもっと世界に売れる邦画をつくれるんだということを研究するというときに、結局官僚の、あるいは政治家の発想でつくって、本当にいいのができるのかと、そういうことですよね。

市村 そのとおりです。今のシステムでは対応できなくなってくるのは明確なんです。じゃあその全体像を見渡せる人はどうやって社会がつくってきたのというと、つくっていないわけです。だから相当欠けている部分があるなと思います。もちろん文化官僚というのはつくってこなかった。どの人材が足りないのかというのを調べようにも、その人材がいないということが起きちゃうわけです。

B あまり見ないんです。昔は見たんです。お話をお聞きしている中で、文化庁が文化政策を全面的にやることの善しあしというのは、相当厳密に考えないと、全然違うことなんだと思います。

 

 

 

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