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具体的な話を申し上げれば、例えば、韓国や台湾、例えばロシアの極東地域と教科書の副教材を一緒につくる作業をするとか、それから従来軍事とは全く関係ないNGOや地方自治体に積極的にODAに参加させて、その周辺地域での国際協力活動に従事させるとか、いろいろな方法があると思うんですが、その国際協力を安心に使えないかという提案についてはどう思われますか。

長島 いいと思います。おっしゃるとおりで、全くそういう観点が抜けていました。これから早速使わせていただきます。(笑)

もう一つ言うとPKOが抜けていました。ガイドラインにはPKOの日米協力があってザイールでアメリカが輸送してやるよと言ったのに、日本側が拒否したというケースがありました。また、昨年のホンジュラスでのハリケーン被害救援活動も日米が一緒にできなかったとか。私は何が原因なのかまだ究明していないんですけれども、PKO協力は、最もやれる可能性があるのに全然やっていないんですね。で、PKO協力というのはまさに攻め込んでいく話ではないし、国際紛争を解決したあと、その秩序を維持するという非常にソフトな目的ですから、そこで日米同盟で協力ができれば、「安心」という観点からは素晴らしいことだと思います。しかも、実はそういう蓋然性の高いシナリオの中で、例えば通信やインテリジェンス・シェアリングで日米協力を行う、あるいは輸送の中継をお互いにし合うとか、こういう一つ一つの訓練や、実地経験の積み重ねが、実は朝鮮半島で何かが起こったときに、一つ一つ応用できるという、こういう利点もあると思うんです。PKOのグローバルな日米協力というのは必要だし、私は、そこに例えば韓国の軍隊を、オーストラリアの軍隊をインヴァイトして、一緒に一つのコマンドのなかでエクササイズしていくということも、今後考えていくべきだし、それは周辺国に脅威を与えないで、共同オペレーションの実績を重ねていく一つのやり方だと思います。

司会 それでは時間となりましたので、本日のセミナーをこれで終了とさせていただきます。お時間のある方は、オフィス中央のほうにコーヒーを用意させていただいておりますので、長島さんとご歓談になってください。どうもありがとうございました。(拍手)

[文責事務局]

 

 

 

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