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司会 GFRS研究セミナーを始めさせていただきます。きょうは、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

本日は、講師に、時事通信社外信部記者の岸田芳樹さんをお招きして、「混迷するロシア政局と今後の日ロ関係」というテーマでお話しいただきます。初めに岸田さんからお話しいただき、そのあと質疑応答の時間をとっておりますので、皆さん、十分時間をご活用いただきまして、議論をされるよう望みます。

岸田さんは、時事通信社外信部記者としまして、モスクワ支局に1994年から98年までお勤めになられて、その間、モスクワの外国人記者クラブの副会長を務められた経歴をお持ちです。

それでは、岸田さん、よろしくお願いします。

 

2. 講師報告

 

岸田 本日は、講演の機会をいただきましてありがとうございます。それから、きょう強風が吹き荒れる中わざわざお運びいただきましてどうもありがとうございます。今回のテーマでありますロシアの政局ですが、プリマコフ首相が解任されるなど混迷の度を強めているといったところで、まさに、きょうの日本の天気のように強風吹き荒れる中といったような印象があります。

まず最初に、プリマコフ首相解任をめぐる動きについてお話ししたいと思います。

なぜ、プリマコフ首相がこの時期に解任されたかということについては、内外のマスコミ等でもさまざまな見方が出ていますが、この点については、プリマコフ首相の支持率がかなり急上昇している上、プリマコフ首相が政権内においての基盤をかなり強化したということが挙げられると思います。プリマコフ首相の強みとして、下院がプリマコフ首相を支持していたということがあって、予算も例年に比べて早く通すなど、かなり大きな功績を上げていたことと、大統領府または政府内部に自らの息のかかった人物を配置し始めていたということに対してエリツィン大統領が危機感を募らせていたということです。

その一つに、大統領一族と大統領一族を資金的にもバックアップしているベレゾフスキーという前のCISの担当書記でもあった人ですが、彼に対する汚職疑惑の追求をスクラトフ検事総長が始めた。大統領一族の中でも特に影響力が強い大統領次女のタチアナ・ディアチェンコという女性がいますが、この女性への資金スキャンダルがロシアのマスコミなどでも取りざたされ始めていた。

 

 

 

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