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それで、この捜査を打ち切るように上から圧力があったのですが、上院等の支持を得ているスクラトフ検事総長は、その捜査を継続していたということで、この動きがプリマコフ首相の影響力によるものではないかといった見方もありまして、この点が今回の解任劇の大きな要因になったのではないかと思われています。

そのほかに、先に否決されましたが、ロシア下院による大統領弾劾の審議が行われていた。この点については、エリツィン大統領から、この弾劾審議を行わないように、下院に取り下げさせるようにプリマコフ首相に指示がいっていた。しかし、最終的にこの指示を守ることができずに、下院による弾劾審議が始まったということです。

エリツィン大統領自身は、解任の理由として経済的な問題、経済がよくならないといったことを挙げていますが、実際のところは自らの権限基盤がかなり脅かされているということに焦りを募らせたのと、それと、先ほど申しました自らの家族に対する疑惑の追求といったことに、かなり焦りを感じていたのではないかと考えています。

エリツィン大統領は、御存知のように来年までの任期がありますが、どの国でも見られるように、政権の末期になるとかなりいろいろな弊害を来すような政策を行うという兆候があるように思います。特にソ連、ロシアについてはそれが顕著でありまして、例えば、ソ連大統領だったゴルバチョフ氏が失脚する前には、政権の改革派と民主派の間を行ったり来たりして揺れながら、最後は自滅した。エリツィンについても、政権の末期的症状が現れていると言えるのではないかと思います。

ロシアでは、98年3月から今年5月までに首相が3回変わるという極めて異常な状態でして、まず98年3月に長年首相を務めましたチェルノムイルジン氏を解任、それから半年もたたないうちにキリエンコ氏を98年8月に解任、そして、この5月にはプリマコフを解任するといったような首のすげ替えを繰り返しました。御存知のように、ロシア国内の経済・社会は全く安定していなくて、特に経済はかなり疲弊しきったような状態の中で、こういった閣僚の交替をやっていく。これはエリツィン流の自分の権力を誇示する常ですが、このやり方はかなり悪質になっているのではないかと思われます。

それで、チェルノムイルジン首相の時代というのは、96年のエリツィン大統領再選を支えた、俗にロシアで7人組といわれる新興財閥、これは銀行家でありますとか、もしくはマスコミを牛耳っているグシンスキーという人物でありますとか、先ほど申しましたベレゾフスキーとか、このあたりのいわゆる新興財閥グループが力を伸ばしていた時代です。

 

 

 

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