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GFRS政策シリーズ第15号「銀行セクターの近況と未来?小原由起子?」

 事業名 国際的人材育成と研究活動推進のための基金の増額(Further endowment of fund for following-up
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


このほど健全化計画というのが発表されました。その中では、業績が順調に回復する青写真が楽観的に描かれております。公的資金が入って自己資本も増強されたことに加え、こうした健全化計画や景気対策の発表があり、株式市場では株価が上がり、それが株式の含み益も引き上げました。

株式の含み益は昨年のボトムから比べて8兆円ほど上がりました。銀行の時価総額は年初来15兆円ぐらい上がっておりますので、約半分がその株式の含み益によって上がっている部分です。残りの半分が公的資金注入による自己資本増強(つまり金融システムの安定化)ですとか、健全化計画や景気回復期待による業績の回復といったものを織り込みながら上がっていると考えられます。

市場はこれらの期待を確実なファクターとして織り込んでいるとは思えませんが、期待により株価が上がってきた。これでいいのだろうか、これで解決したのだろうかというのが私の疑問です。銀行を訪問して頭取などの経営者にも会い、それから各部署の部長、あるいはもっと若い人にも会っております。若い人の中には自行の将来に強い危機感を持って、銀行を辞めていく人も少なくありません。上の方は、株価が大きく回復したことにすっかり安心しておられるようです。

何が問題かといえば、組織の中で改革的な変化がないことです。大体従来型の組織の中でできるような変化は実行しているのではないでしょうか。例えば、給与体系にしても、成果給の部分を一定程度入れる一方、資格給の部分をほぼ全廃するという改定が各行で実施されています。とはいっても、まだまだそんなに給料に格差が出ているわけではありません。

銀行は、とにかく職務内容と成果に基づく給与体系を導入し、加えて不採算部門からは撤退すると言っています。ところが、今後4年間で人件費がどのくらい下がるかというと、大手一行あたりで200億円ぐらい、約13%です。10%は大体自然減で達成できる額ではないかと思うわけです。

給与体系以外の変化をみると、例えばカンパニー制の導入があります。カンパニー制を導入するといっても、それに応じた管理会計が完成しているかというと、これはできていないと思います。もちろん、徐々に精度の高い原価計算システムを完成させ、部門別の収益率やリスク調整後の収益率を導入しつつはありますが、健全化計画をみる限りにおいては、銀行でその完成度はバラバラです。ほとんどできていないところ、部門が明確に分かれていないようなところ、粗利益べースでしかできていないところなど、4〜5段階に分かれていますし、もっとも進んでいるところでも、原価計算の完成度にはまだ不安があります。

 

 

 

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更新日: 2020年6月27日

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