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司会者 さて、大変お待たせをいたしました。今日はもう皆さんよくご存じのモルガン・スタンレーの小原由紀子さんにおいでいただきまして、我々にとってある意味で最大の関心事と言っていいと思いますが、銀行セクターのお話をしていただきたいと思います。小原さんの鋭い分析の視角というのは皆さんよくご存じで、だからこそ早朝からこれだけの方がお集まりいただいているのだと思います。小原さんもぜひ皆さんと議論したいということですので、今日は30分ぐらいをめどに、小原さんのほうからイニシャルの問題提起をしていただきまして、残された時間でぜひ議論をしたいと思います。

皆さんの時間を考えまして、10時ちょうどには終わりたいと思いますので、その点よろしくお願いいたします。では、小原さんよろしくお願いたします。

 

2. 講師報告

 

小原 今日は皆様お忙しいところをどうもありがとうございます。竹中先生に頼まれまして、断れなかったというのが事実でして、金融の不良債権の問題も一応マーケットなどではめどがついたということになっており、私も去年と比べて若干時間がもてるようになりまして、今後の課題は何だろうかということを悩んでいる最中で、皆様に何か鋭い視点を投げかけるなんて非常におこがましい話ですが、今日は1つ1つ最近思っていることを細かくクローズアップして、そしてそのあとで皆様からそれに関連した、あるいは別の質問をいただいて、それで議論させていただきたいと思っております。

一応何かを見てないと私ももたないので、資料をお持ちいたしました。この資料というのは、いつも私が投資家向けに使っている資料とほぼ同じようなものです。例えば、3ページは相対株価のグラフです。92年あたりからずっと銀行セクターの相対株価は低迷しております。

そして、去年の10月初めに底値を付け、そして今回復しているという状況です。マーケットでは引き続き株価に対して非常に楽観的な考えがあるといえます。この2、3日ニューヨークのほうが若干弱くなって落ちておりますので、昨日あたりも日経平均は下がりましたが、それでも弱気を否定する雰囲気が漂っております。

科学的に何かを証明できているわけではありませんが、長期的には、例えばあと1年〜1年半経ったあたりには、金融危機にまた襲われるのではないかと懸念しております。それはどういうところから来るかというと、銀行経営者、問題企業の経営者、あるいは社会一般の危機感不足から来るのではないかと思っております。

 

 

 

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