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◆民間組織の給与生活者のための老齢年金制度

全就業者の68%が、この分類に属する制度に加入している。中でも最も加入者が多い制度は「一般制度」である。

企業などで働く者にとっての老齢年金は、保険として、労働によって生活費を得られなくなった時のリスクに対して保証するものである。この原理に基づき、就業者各人の給与の一部が将来を保証する資金となっている。

老齢年金には、基本年金と補足年金とがある。支給される基本年金は、就業中に支払った保険料の金額(すなわち給与額)と保険加入期間によって異なる。

◆公務員のための老齢年金制度

公務員の老齢年金制度は19の制度に分かれるが、この分類では全就業者の21%に相当する公務員が加入していることになる。

公務員の老齢年金制度では、老齢年金の支給は就業期間の延長として見なされており、老齢年金が非労働給与あるいは延期俸給と呼ばれていることさえある。

公務員の老齢年金制度には補足年金制度は存在しない。

◆非給与生活者のための老齢年金制度

全就業人口の11%が加入している。

非給与生活者にとっては、老齢年金は就業を停止した時の唯一の収入源ではない。彼らが投資した職業上の資産(営業権、建物、設備など)は、退職した時の最も大きな収入保証となるからである。そのために非給与生活者は、長い間に渡って、低額の老齢年金しか受けられなくても、少ない保険料を支払う方を望んでいた。こうした傾向は今日でも自由業者の制度に残っているが、最近では職人や商人の制度は一般制度に近いものとなっている。

職人および自由業に携わる者が加入する制度には、基本年金を補う補足年金制度があるが、その他の職業に携わる非給与生活者は、補足年金に加入するかは本人の意思に任せられている。

 

2]年金の支給開始年齢

年金の支給開始年齢は、1983年に65歳から60歳に引き下げられた。ただし制度によって多少異なり、例えば一部の特殊な職業の制度では、50歳あるいは55歳で年金支給が開始されるケースもある。また自由業に携わる人々の制度では、満額年金の支給開始は65歳となっており、例えば60歳で退職する場合には満額年金支給額の75%、64歳で退職する場合には95%が支給される。

なお企業の都合で60歳に満たないのに早期退職させられた者(56歳以上)は、年金が受給できるようになるまで雇用全国基金から支給される補充収入を受け取ることができる。

 

 

 

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