学校の体育館での上演。舞台装置の制作も、設営も、すべて劇団員が行う。
結婚・出産、そして家族の死の悲しみを乗り越えて
以来四〇年近くにわたって、どうしたら子供のために本当によい芝居をたゆまず作り、届け続けることができるのか。どうしたら演劇を学ぶことを希望する人々のよりよい助けとなることができるのか。そして、劇団員が安心して生活しながらよりよい仕事を続けていくことができるのかを考え、そのための『らくりん座』や『演劇道場』の発展に奔走してきた浅野さん。
その間、プライベートでは結婚・出産も体験。子育てをしながら劇団の仕事や演出活動を行っていくことは、決してたやすいことではないが、「劇団の活動をしながら生きていくことが、人としての暮らしの要素を狭めることであってはならない。自分が育たなければ人を感動させることもできない」というのが浅野さんの持論。見事にそれを実践してみせたのである。劇団員の中には、結婚後劇団を去っていく者も多い。そんな状況を横目に見ながら、結婚・出産と芝居の両立の道を切り開くことの必要性も感じていたのだろう。