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ところが、三六年一月二三日、公演先の山前小学校で公演準備中、歳郎氏が倒れ、急逝。それまで劇団員としても舞台に立ちながら、演出家として父の仕事を手伝っていた峪劼気鵑?輿魁?鸞緻楴膾砲僚点佞鯢蕕Δ海箸砲覆辰燭里任△襦」

「父が亡くなった翌日にはもう公演も再開したくらいですから、道場や劇団を解散することは、これっぽっちも考えませんでした。一〇年間父の元でやってきて、大切な仕事、誰かがやらなければならない仕事だという認識がありましたし、志半ばで逝った父の夢を全うしたいとも思いましたから」

 

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学校の体育館での上演。舞台装置の制作も、設営も、すべて劇団員が行う。

 

結婚・出産、そして家族の死の悲しみを乗り越えて

 

以来四〇年近くにわたって、どうしたら子供のために本当によい芝居をたゆまず作り、届け続けることができるのか。どうしたら演劇を学ぶことを希望する人々のよりよい助けとなることができるのか。そして、劇団員が安心して生活しながらよりよい仕事を続けていくことができるのかを考え、そのための『らくりん座』や『演劇道場』の発展に奔走してきた浅野さん。

その間、プライベートでは結婚・出産も体験。子育てをしながら劇団の仕事や演出活動を行っていくことは、決してたやすいことではないが、「劇団の活動をしながら生きていくことが、人としての暮らしの要素を狭めることであってはならない。自分が育たなければ人を感動させることもできない」というのが浅野さんの持論。見事にそれを実践してみせたのである。劇団員の中には、結婚後劇団を去っていく者も多い。そんな状況を横目に見ながら、結婚・出産と芝居の両立の道を切り開くことの必要性も感じていたのだろう。

 

 

 

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