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広さは食堂と居間が合わせて畳二〇畳程度。寝室は狭いが、洗面所や廊下の空間は大きく、救急ベッドが持ち込めるようになっている。内装はピンク、クリーム、グリーンで配色されて明るく、清潔だ。

スポーツジムやプールもあってリゾートホテルのような雰囲気。わずかにベッド脇、台所、洗面所などに取り付けられた緊急用の「ひも」がアシステッド・リビングであることを示す。ひもを引くと事務所の部屋番号が点滅し、異常事態発生を知らせる。

ブランチさんは、「アシステッド・リビングでありがたいのは、親が病気になった時、専門家が親身になって相談に乗ってくれることです」と説明する。実は入居半年目に八八歳の父親が脳卒中で倒れた。六〇年間連れ添った母のショックは言うまでもないが、子供たちも慌てた。両親を案じる気持ちばかり強く何をしたらいいのか考えられなかった。

 

定期的に家族と健康状態を話し合う

 

幸いエバーグリーン・ウッドでは医師、看護婦、リハビリテーションの専門家が入居者の健康状態について定期的に家族と話し合う決まりがある。「この話し合いが家族の支えになった」とブランチさんは振り返る。父の症状や回復の見込みについて詳しい説明を聞きながら、医師や看護婦とチームになって対応策を考えることができたからだ。その結果、半身不随になったものの父は母の待つアパートへ戻ることに決まり、朝夕のベッドの上がり下り、シャワー、着替え、車イスでの散歩といった介護サービスが新たに加えられた。

エステラ・クリンガーさんの両親もアシステッド・リビングで暮らしている。マンハッタンで働く彼女は、「高額ですが、一日中両親の心配をしなくて済むだけ助かります」と言う。クリンガー夫妻はニューヨークに隣接するニュージャージー州の小都市で生まれ育った。

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エバーグリーン・ウッドに入居する直前のハウスクネヒト夫妻

 

 

 

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