総じて会社人間は、自分がいなければ仕事は立ち行かないと思いがちだが、組織とはそれほど柔なものではないし、月に一日ぐらいならば、自分の心がけ次第で仕事に支障を来すことなどないということか。
「あとは、自分の意識次第。果たして、休暇を使ってまでもやりたいかどうかというね。確かに、貴重な有給休暇を毎月一回、ボランティア活動のためにつぶすのは正直いって、つらかった。ぼくだって、二四時間勤務といった特殊な事情がなければ、ボランティアの世界に飛び込んでいなかったかもしれないし、わざわざ休暇を使ってまでも続けようとは考えなかったと思います」
そういう意味では、サラリーマンは、ボランティア活動をはじめるきっかけがなかなかつかみづらいのも仕方ないことなのかもしれない。だが斉藤さんは、「それでも、一歩踏み出すと、人生が変わるんですけどね」と言って静かにほほ笑んだ。
張りを持って生き、九〇歳以上まで活動を続けたい
こうして『もみじの会』の送迎ボランティアからはじまった斉藤さんのボランティア人生は、二年目の会長就任を機に、徐々にその活動範囲に広がりを見せ、退職後の現在では、冒頭で紹介したような活躍ぶりにまで至った。
「『ユニフェムよこはま』の場合は、ボランティア仲間から参加しないかと誘われてはじめた活動ですし、視覚障害の方のボランティアは、彼が視覚障害者の会の会長をやっていたことから、瀬谷区のボランティア部会で出会い、それから意気投合してはじめたもの。