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「仲間とともに、一つの目的に向かって一生懸命やることの心地よさ。また、最初は緊張して表情の硬かったお年寄りの方々も、心穏やかで楽しいときを過ごせるからなんでしょうか。毎回参加しているうちに、だんだんと笑顔が見られるようになってくる。そうして心がふれあえたことを実感できることが、とてもうれしくてね」

 

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『ユニフェムよこはま』での募金活動

 

有給休暇を使ってでも、活動を続けたかった

 

ところが一年後、会社で人事異動があり、斉藤さんはそれまでの保安関係の仕事から総務部門へと配置転換。それに伴い、勤務体制も二四時間勤務から通常八時間勤務へとシフトし、休みは土日のみとなった。

『もみじの会』の行うデイサービスは、毎月第一水曜日と第四火曜日と決まっていたので、通常勤務ではとても参加はできない。普通なら、ここでボランティア活動への参加は断念するところだが、斉藤さんの取った行動は違った。

「年二〇日の有給休暇を使って、毎月一回、第四火曜日だけは活動を継続することにしたんです。既に、活動をすること自体が自分の生きがいになっていたし、会のためにもやめたくはありませんでしたから」

以来、退職するまでの一〇年余りにわたって、会社生活とボランティアを両立させてきた斉藤さん。有給休暇の取得はサラリーマンにとって当然の権利とはいえ、周囲とのあつれきなどはなかったのだろうか。

「基本的には、本人の希望を優先するということで、休暇が取りづらいということはありませんでした。隠すこともないので、ボランティアをやっていることは会社でも公言していましたからね。それでも、忙しいときには"仕事優先で出てきてくれ"と言われることもありましたが、自分で仕事が調整できる範囲内であれば、何とか休暇の前後でやりくりするように心がけました。そうこうしているうちに、"アイツは第四火曜日は休むもの"だと、周囲も理解してくれるようになったと思います」

 

 

 

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