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堀田 自分がこの世に生まれてきて本当によかったと思えるように、自分が大切、そして人も同じように大切というのを社会全体で教えていく。

石川 世の中を生きていく上では確かに知識が必要です。けれども根元的な価値観、社会観をしっかり身に付けさせないと、本当の意味での教育は成り立たないと思います。理屈ではなくて体験を通じてそうした心を育てていく。その意味で二一世紀に求められる教育は、きわめて基本的なものでしょう。

堀田 子供がそうなりたいと思える心豊かな生き方、発展途上国の人たちにも範として示せる温かい社会のあり方を私たちはしっかりと示していく責任があります。物の豊かさ中心の生き方を改めて、哲学を持ち、それを身をもって示すこと。地球環境と調和の取れた生き方をどう率先していくかが、二一世紀の日本に課せられた重要な役割なのでしょう。

石川 かつて科学技術が発達したとき、人類はその中に光だけを見て追求してきました。生活が豊かになり便利になることはいいことだと。確かにそれは人類の幸せのためだったんですね。ところがどうも科学技術というのは両刃の剣で、裏側に暗い陰があるんだということもわかってきました。そこのところをしっかりと日本を含めた先進国が示していくことです。二一世紀という時代は相互依存がさらに進み、国際的な共生が広がっていくでしょう。反面、情報化が進みグローバリゼーションという時代が来ることで、それぞれの国や民族が生きていくための競争力を持たないといけなくなります。人類社会の幸せを高めるための国際的な意味での競争と共存、この両方の要素の中でいかにうまく仕組みづくりをしていくのか、それが二一世紀の大きな課題だと思っています。

 

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