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どちらにしてもしっかりとしたものをつくり上げる努力を日本はしなければなりません。そうした仕組みがないと問題には対処できない時代になってきているんですね。それともう一つ、後発国には後で弊害を直すのはこんなに大変ですよとしっかり示してあげる。同時に弊害を引き出さずに経済力を上げていく方法も示さないといけない。いずれにしてもできるだけ途上国がうまく成長できるように接していくことが非常に大事なんですね。

堀田 (うなずきながら)私はいずれは世界国家が成立するだろうと思っているんです。ヨーロッパ諸国がEU圏をつくってかなり国境の壁をはずしました。アメリカもNAFTA(ナフタ)協定でカナダとの国境の壁を低くし、メキシコもだんだん入ってくるでしょう。すべての国が民主主義化して工業も進展して、やがて同じ価値基準が生まれれば世界連邦国家ができるはずだと。問題はそこにたどり着くまでの道筋をどうつくるのか。それが二一世紀なんですね。

 

●EU…欧州連合。欧州の一五か国で構成する統合のための機構。単一通貨として「ユーロ」も制定された。

●NAFTA(ナフタ)…北米自由貿易協定。アメリカ、カナダ、メキシコの三か国の間で結ばれた、貿易、投資の自由化に関する協定。

 

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科学技術の進歩はどこまで必要か?

先進国が新しい生き方の実践を

 

石川 かつて中国側と日中友好二十一世紀委員会をやっていたときに、これは中曽根さんと胡耀邦さんがつくった委員会ですが、中国から帰る時には李鵬さんですとか食事に呼ばれるわけです。その都度「環境問題はとても大切で日本ではこんなにひどい目に遭いましたよ」といくら話してもなかなか聞いてくれない。

 

 

 

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