普段着の近隣型助け合い講座 NO.9
「わかるふくしネットワーク」主宰 木原孝久
「閉じた家」を「開いた家」にする「こじあけ屋」さん
近隣で助け合いがはじまる最も手っ取り早い方法は、困った人が「助けて!」ということだと述べてきました。ところが私たちはその「助けて!」がなかなか言えない。だから私どもが各種マニュアルで提示している近隣型助け合いのノウハウとはこの「言えない派」対策のことだと考えてくださってもいいのです。
「言えない」どころか、助けの手をかたくなに拒んで、家に閉じこもる人もいて、民生委員を困らせています。
そこで登場するのが「こじあけ屋」さんです。文字通り「閉じた家」を強引にこじあける人で、誰もができるというわけではありません。天性の資質が必要です。
カミさんの友人にも一人いて、時々わが家を訪れます。玄関で「水原さぁん」と声がしたと思ったら、次の瞬間にはもう茶の間に足を踏み入れている。「な、なんだ、このずうずうしい人は!」と思っても、不思議に腹は立たない。「憎めない人」なのです。そんなこじあけの名人に「秘訣は?」と聞くと「さあ…強いて言えばタイミングかな?」と自分でもわからないといったふうです。どの地域にもこういう人材がいるというのも面白いですね。
さて、ここで「こじあけ屋」さんの一人を紹介しましょう。