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職場以外のグループで、あるいは一人でこうした活動を楽しむ気力と能力を持つ人が多い。日本では男性は職場、女性は家庭にだけ関心が集中しがちだが、地域の活動にかかわる高齢者も多い。

リタイアメントヴィレジ、ホステル、ナーシングホームの施設も地域から孤立した存在ではなく、音楽、絵画などの活動を助けるボランティア、話し相手や散歩に付き添うボランティアなどに支えられ、地域に開かれている。その活動を支える担い手もヤングオールドが中心である。

また、自宅のペンキ塗り、芝生刈り、ガーデニングなど家をきれいに保つ活動にも熱心である。

買物、料理なども夫と妻が連れだって行う。こうしたライフスタイルは引退する前から継続している。お金をかけなくても時間をかけて人生を楽しむ術が身に付いていているというのは高齢期を生きる上で重要な能力といえるだろう。

やっと人口が一九〇〇万人に達したばかりの若い国オーストラリアも高齢者の割合は一二%、今後も急速に増加していく。日本同様多くの試行錯誤を重ねながら「選択」できる福祉をめざし努力しているオーストラリアの取り組みを見守りたい。

 

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公園でチェスを楽しむオーストラリアの高齢者。

 

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ナーシングホームでくつろぐ入居者たち。

(写真提供協力:オーストラリア大使館広報部)

 

 

 

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