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日本でも介護保険を実施する以上、できるだけ多くの企業、団体に福祉サービスを提供してもらい、良いサービスの所には多くの顧客がつき、水準レベル以下のサービスを提供している会社や団体には、制裁を課すことで市場から排除するという仕組みをつくる必要がある。

「選択」を可能とするだけの量と多様なサービスが十分に用意されて初めて高齢者は「顧客」として重視される。

株式会社の経営する福祉サービスも都市部では多い。日本的センスでいうと、福祉では利益を上げるなんて大丈夫かと心配になるが、効率的な人間配置・訓練などで、利益と高水準のサービスの提供が可能になるそうである。

オーストラリアは入院の費用が高いので手術が終わると次の日には退院させ、訪問看護サービスで後のケアをする。医学的ケアは資格を持った看護婦(士)が行うが、ベッドメイキング、掃除、洗濯などはパートタイムの無資格の人が行う。そのノウハウが介護サービスに生きている。終末介護も在宅で行われているが、高齢者自身もできるだけ自宅で生活したい、看取られたいと願う人が多いので、こうしたサービスが企業として成り立っている。もちろんキリスト教などの教会系のサービスも大活躍している。高齢社会では病院で医療を受けるだけでなく多様な選択を可能にしなければならないという考えは大いに参考になる。

 

こうした介護を必要としないヤングオールドのライフスタイルは日本とはかなり異なる。

働いているころから長期休暇を取ることに慣れているオーストラリア人にとって、仕事からの引退はまさにハッピーリタイアメントで、あれもしたい、これもしようとうれしさいっぱいである。ゴルフ、テニス、ヨット、ドライブとアクティブなレジャーを楽しみ、キャンピングカーでのんびりと旅行をする。

 

 

 

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