日本財団 図書館


自分が困った経験から、助け合い活動に参加

 

富田さんが、住民同士の助け合い活動に興味を抱いたのは、「在宅福祉サービス団体」といった言葉が普及するはるか昔、二四年も前のこと。

「その頃、私は二人めの子を出産したんですが、出産日の六日後が上の子の幼稚園の入園式に当たってしまいましてね。うちの場合、核家族の上、双方の実家も頼れないような状況だったもんですから、もう、途方に暮れてしまって。主人は主人で、仕事が忙しくて休暇を取れないというし…。こんなときに有償でもいい方ら、気兼ねなく頼めるような助け合いの会があったらどんなにいいかと、思ったんです」

このときの思いを抱き続け、事あるごとに口にしてきた富田さんに、ある日友人が、「隣の寝屋川市であなたが言っていたような会ができたわよ」と教えてくれた。

「うれしくなって、早速、友人三人と一緒に入会をしたんですが、地域的に遠いせいで、サービスを提供したくても依頼者がいない。で、仲間の前でポロッと言ってしまったんです。こんなに依頼が来ないんだったら、自分たちの地域で会をつくったほうがいいわよねって」

富田さん自身は、軽い気持ちで口にした言葉だったが、みんなも同じ思いを抱いていたのだろう。大東市内に住む仲間五人が集まって、あれよあれよという間に団体を設立する運びとなってしまったという。

「まあ、あれこれ考えていても仕方ないから、とりあえずは発進しちゃいましょう。で、もし赤字になったら、へそくりを出し合えばいいと。それでもダメなら、そのときにまた考えましょうよ、そんなノリでした(笑)。隣の市にまで足を伸ばしても活動をしたかった人たちだけあって、みんな、とても前向きでした」

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION