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財政力が弱い自治体は「介護力」が高い

三つ目は、財政力の低い自治体の方が在宅介護力指数が高いということである。自治体活動を支えるために必要な金額をどの程度自力で賄っているかを示す「財政力指数」と在宅介護力指数との関係を見てみると、全体的には財政力指数の低い自治体、つまり財政に余裕のない市町村の方が、在宅介護力指数が高い。これは財政力の弱い自治体でも財源の配分によって介護力を強化することができるということを示している。

ここに紹介した地域差は、人口学的・空間的あるいは産業構造などの地域の特性、介護をめぐる地域住民の意識、介護に関する自治体の政策の位置付けなどさまざまな要因によって生じるものであり、必ずしも全ての地域が同一水準にならなければならないものではない。とはいえ現在の高齢者やこれから高齢期を迎える人たちが要介護状態になっても安心して幸せに暮らせるような地域社会を創っていくためには、地域によって受けられる介護サービスに大きな格差があるような状況は、是正していかなければならない。そのためには広域化(新しいサービス圏)が必要だ。

 

首長の取り組み姿勢が大切

農山村の小さな自治体では高齢化率も高く、介護サービス体制の整備は喫緊の問題といえる。こうした地域では、すでに多くの地域で実施に向けて準備が進められている広域連合や合併を含めた再編による介護サービス体制づくり、行政範囲にとらわれないサービス圏の構築と住民の支え合いのネットワーク形成が必要である。

秋田県鷹巣町のように、大都市でなくても福祉を核としたまちづくりを基本に、単独で介護保険対応を図る町もあり、町村においては首長の地域福祉に取り組む姿勢が大切であることは言うまでもない。

 

 

 

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