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一方、大都市においては「多様化」「情報提供」および「ユニット化」が介護力格差是正のキーワードになろう。今後急速に高齢化が進行し、要介護高齢者の絶対数が飛躍的に増加する大都市(都市部)においては、町村とは異なる格差是正策が求められる。大都市では、介護サービスの量を大幅に増やす必要があり、そのためには、民間事業者・事業型の市民団体・ボランティアなどを有機的に結び付け、介護サービスの重層化・多様化を図る必要がある。と同時に、これらの多様なサービス機関の情報をインターネットをはじめとした各種のメディアを活用して提供する仕組みを充実させる必要がある。

 

大都市は適正規模ユニットに細分化して

大都市では数十万以上、所によっては百万規模の人口を一つの自治体がカバーしており、地域住民のニーズに対応したきめ細かい介護サービスの提供はむずかしい。高齢者のニーズに的確に応える単位としては「顔が見える福祉」という観点から、自治体をより細分化して適切な保健・福祉エリア(ユニット)を設定し、地域に密着したサービス供給体制をつくる必要がある。

在宅介護力指数を最近の四年間(一九九三〜九六年)で見てみると、自治体によって温度差はあるが、二〇〇〇年四月の介護保険の実施に向けて、介護力指数が下位にある自治体の底上げは確実に行われており、少しずつではあるが介護力の格差は縮まってきている。介護保険制度は、スタート時は完全でないかもしれないが、介護の社会化に向け、その第一歩を踏み出すためにみなで育てていくことが大切だと考える。

 

 

 

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