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このように全国的に大きな格差のある在宅介護サービスを、地域における施設の充実度や医療との関係、自治体の財政力等との関係で見てみると興味深い特徴がある。

 

在宅サービスと施設サービスは比例する

一つは、在宅サービスと施設サービスが正比例するということだ。在宅介護力指数の高い地域は特別養護老人ホームの定員数も多い。すなわち、在宅サービスの充実している地域は、施設サービスも充実している。このことは、充実した在宅サービスは、ホームヘルプサービスのような要介護高齢者の自宅への訪問サービスに加えて、デイサービス(デイケア)やショートステイのような在宅介護をサポートする施設を、ある程度充実してはじめて実現できることを裏付けている。

二つ目は、医療サービスによる福祉サービスの代替性である。

 

(図3)全地方自治体の在宅介護力指数ベスト10

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(住友生命総合研究所)

 

医師数が多い地域では、老人特例許可一般病床数・老人保健施設定員数等で見た医療関係の施設が多く、老人医療費も高くなっている。これらの地域では特別養護老人ホーム定員数が少なく、在宅介護力指数も低くなっており、福祉サービスの水準が低くなっている。この傾向は、とりわけ都市部において顕著である。逆に医師数の少ない地域では、医療資源が少なく、福祉資源が多く、在宅介護力指数が高くなっている。

 

 

 

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