介護保険で対象となるお年寄りはぼけにしても病気の人にしても弱者です。ところが(強者である)医者や看護婦はもう少し(弱者である)患者さんに対して思いやりがあってもいいのではないかという声をよく聞きます。もの言えぬ年寄りの介護をただ政治経済的に面倒みる、つまり福祉の面で何とかするという強者の発想ではなく、人間として面倒みるというやさしさがないと本当の介護になりません。そういうものが今欠けているんじゃないかと思います。
年を取れば思いもかけず肉体的にも精神的にも弱くなる。強者はいつでもみんな弱者になるんだということを考えなければいけません。年を取ればわかりますが、いつでも人間はみじめになるんです。強者が弱者の面倒をみるというこれまでの考え方はまずいんじゃないか。お年寄りの面倒は、あくまでも社会的に、つまり世の中のみんなの力でみなければなりません。