介護保険の基本理念となる在宅ケアの受け止め方もかい離がある。リアリストの三浦市長の言葉を借りれば日本人の本音は「親孝行したくないのに親がいて」。そんな時代の高齢者介護は「在宅でなく施設でやるしかありません」と三浦市長は主張する。同市長の持論に従い、佐久市は特別養護老人ホームを中核施設とする佐久市老人福祉拠点を二〇〇一年春にオープンする。ホスピスケアも行える画期的な施設だ。
ところが佐久市の南側、南佐久郡で訪問診療・在宅ケアの実践を積み上げてきた佐久総合病院を訪ねてみると、むしろ在宅重視のスタンスが明らかである。「高齢患者を病院から在宅に移すとミラクル(奇跡的)なほど回復する」(同病院地域ケア課)と在宅の効用を高く評価している。
佐久市は新たにつくる老人福祉拠点の運営を東京の社会福祉法人に委託する。これとは対照的に、佐久総合病院は在宅ケア・ネットワークづくりに農協の協力を期待している。実は佐久総合病院はもともと農協がつくった施設である。