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「二〇周年事業の一環として、『心・ふれあい社会』というシンポジウムを千葉県の文化会館で開催しました。この時は、会社のお客さまをはじめ、学校関係、警察関係、そして一般のお客さまなど約二五〇名の方が参加しました。県の教育委員会の方もいらしていて、そこからの広がりで、県内の各地域から、ボランティアをしたいのだけれどどうしたらいいかという問い合わせがあり、応えてほしいという県からの要請がありました」

エッチ・アール・オーという民間企業の活動が、官を動かしたといってもいい。中村氏は、県教育庁の生涯学習ボランティア委員に選ばれ、各地でボランティア啓発のための研究会を開催する。

「ボランティア啓発のための、『出前研究会』とわれわれは呼んでいます」と笑う。

出前を続けることで、各地のボランティアの現状もつかむことができた。今年、二五周年を記念して、エッチ・アール・オーではこうした千葉のボランティア団体をマーキングした地図も作成した。

ボランティア活動をはじめて四年目、これからはどんな活動をめざしているのだろう。

「これからはパソコンを使っての情報交換が必要になってきます。特に、地域に密着したボランティア活動では、身近な情報が大切になってきます。メールなどの送れる簡単なパソコンとソフトがあればいいわけですから、そうした面からのネットワーク化でもお手伝いができたらと思っています」

さらに石川社長は夢を持っている。

「私たちは車のディーラー系のお手伝いもしています。介護などでは自宅と病院など車での移動が大変です。そうしたときに、リフトの付いた介護専用の車を用意して、メンバーで借りられるようにできないかと。ボランティア団体が車を持つと駐車場、保険、管理などで問題があります。運営はディーラーに任せて、みなが使える車があったらいいですね」

ネットワーク化と啓発活動、株式会社エッチ・アール・オーの行き方は、これからの企業ボランティアのひとつの方向を表しているといえよう。(いしづかとおる)

 

 

 

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