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二一世紀に咲かせる花は在宅しか存在しない !

 

小さいころ、自宅で祖母を看取った経験から山口さんは福祉の道を志し、大学卒業後は、特別養護老人ホームや老人保健施設で働いてきた。そんな彼を在宅福祉サービス団体設立へと駆り立てたのは、ある出会いがきっかけだった。

「当時、社会福祉士の資格取得をめざして通信教育を受けていたんですが、スクーリング(出席を義務付けられている教室授業)で知り合った人から、さわやか福祉財団の活動について聞かされましてね。目先の利害や損得とは関係なしに、社会貢献の仕組みをつくろうとするそのスケールの大きさに感動しました。それで、実際に活動している人の話を聞こうと、『泉北たすけあい』の佐藤会長を紹介してもらい、翌週、早速会いに行ったんです」

『泉北たすけあい』を訪問したのは、午前十一時頃。それから時の経つのも忘れて日が暮れるまで佐藤さんの話に聞き入った山ロさんは、「二一世紀に咲かせる花は在宅しかない!」という思いを強めた。そして、周囲の大反対を押し切って、一四年間のサラリーマン生活にピリオドを打ち、団体設立に向けて走りはじめたのだった。

「正直言って、迷いはありましたよ。この事業で生計を立てられる保証などどこにもないし、福祉関係者をはじめとして誰に話をしても、"うまくいきっこない。やめとけ"と一蹴され、一人の仲間も得られませんでしたから。

 

 

 

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