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地域の中で何かしなければこれからの高齢社会は支え切れない

 

長年、病院の看護婦や訪問看護婦として活躍してきた田口さんが、『さわやか埼かつ』を設立しようと思ったのは、仕事を通じて、高齢社会が抱える問題点をつぶさに感じ、どうすれば、その問題が解決できるかを考え抜いた結果だという。

「たとえば、退院しても面倒を見てくれる家族や親戚がいないということで、社会的入院を余儀なくされるお年寄りを山ほど見てきました。また、寝たきり等の要介護者を抱える家族が介護疲れから虐待に走るといった悲しいケースもあり、こんなときに他人が介在すれば、ずい分、違ってくるはずなのにと、歯がゆい思いをしましてね。そんなことから、お年寄りが在宅で心豊かに暮らしていける社会をつくるには、地域の中で何かしなければという危機感を持つようになり、高齢者問題の勉強に取り組むようになったんです。そしてその過程でさわやか福祉財団の草の根の運動を知り、そのスタンスに感銘して、地域の助け合いネットワークをつくろうと決意したんです」

看護婦を天職としてきた田口さんだったが、「病院の仕事は私でなくてもできる」と、あえてその職を辞しての取り組みだったというから、熱意のほどがうかがわれる。

「ふれあい社会を築いていくということは、社会の認識や住民の意識を改革していくことでもありますから、とても片手間ではできませんから。

 

 

 

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