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中央労福協は全労済や労働金庫、連合など労働各分野の要求を取りまとめて政府や自治体に示したり各分野の活動をコーディネートする、いわば労働界のお世話係だ。

労働界からのエールを背景に、全労済は介護サービスの事業化に当たっては中央労福協や地方労福協との連携を強めていく方針を打ち出した。四月にオープンした静岡の全労済在宅介護サービスセンターでは、静岡県労福協が県内五か所に持つ高齢者サービスセンターと連絡を取り合うなど、早くも具体的な連携の動きが出ている。

万全の構えで介護サービスの事業化に乗り出してきた全労済の介護保険に対する意欲は並々ならない。非営利の協同組合だけに他の協同組合や市民互助団体とも手が組める。確かな財政基盤を武器に全国に事業を広げるだけの組織はすでにつくった。同じ非営利とはいいながらも、お金も組織も十分でない市民互助団体とはあまりにも大きな違いである。

今はまだ構想段階という「介護共済」がいずれ具体化して介護サービス事業と連動することになれば、生保・損保業界に与える影響も大きいだろう。すでに介護保険を商品に持ち、相次いで介護ビジネスに参入している生保・損保の各社にとっては、強力な競合相手の出現である。全労済の介護サービス事業は、今、第一歩を踏み出したばかりではあるが、その先には介護サービスのビッグビジネスに育つ青写真が描かれているようだ。

 

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4月にオープンした長野市の在宅介護サービスセンター

 

 

 

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