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その中にはさわやか福祉財団の研修を受けて立ち上げた団体も含まれているという。このプロジェクトの大きな特徴は、支援が「事業」に対してだけではなく、人件費や研修費など、「人」をも対象に行われる点だ。苦しい台所事情の中、なかなかスタッフにまで手が回らない市民団体にとっては、この上ないプレゼントだ。「やはり、活動を支えるのは『人』ですからね。みなさんからは感謝のお手紙をたくさんいただきました」と栗山さん。

 

自らもボランティア!「きっかけが提供できれば」

 

これと同時に、研究機関に向けNPOに関する研究への支援、また内部に向け、主に右の三分野でボランティア活動を展開するJTグループ社員への活動費助成もはじめた。今年上期は二件の活動が受理されたが、実はそのうちの一つが加藤さん率いる『JTフェルマータ』による福祉施設訪問コンサート活動だ。

加藤さんの活動のルーツは、運動不足解消のため、地域のソフトボールチームに入ったことだとか。そして「会社人間の私に地域とのつながりができた。いったんつながりができると、あとは口コミで地域のいろいろな情報が耳に入るようになりましてね、次に地元の合唱団に加わった。こうした中で自分に技術的、精神的な自信が生まれ、ボランティアとしての施設訪問コンサートという行動につながったわけです。現在社内のメンバー五人で福祉施設を回っています」。加藤さんは助成金で、扱いが比較的容易なハンドベルを購入し、「初心者にも参加を呼びかけてボランティア活動へのきっかけを提供する」つもり。

本業であるたばこを取りまく環境は決して順風ではないだろうが、事業の多角化で新しい風を次々と起こし、社員のボランティア活動やNPO支援など社会貢献活動にも意欲的に取り組んでいく日本たばこ産業の今後に注目だ。

 

 

 

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