日本財団 図書館


「生活者起点」への意識改革

 

堀田 三重県は、今、もっとも市民の知恵を汲み上げ、開かれた行政をめざしている日本でも有数の県だと思います。その原動力になっておられるのが北川知事さん。当選されて、もう三年と…。

北川 はい、三年半になります。

堀田 「住民に顔を向けた行政を」という北川知事さんの手腕で、ずいぶん変わられましたよね。どうしてそういう思いを持たれるようになったのか、そのあたりから伺えますか?

北川 グローバルスタンダードということが言われていますが、やはり国内だけで通用する論理できた産業界はどんどん衰退していきますね。でも、実は一番日本的な組織は、地方自治体なんです。

堀田 (うなずく)

北川 世間が何と言おうと競争のない社会ですし、仲間内だけで物事が決まって少しもオープンにされない。そんな組織のままでは持たないだろうと。そんな思いはずっと以前から持っておりました。

堀田 そして当選されて、職員の方に強く意識改革を迫られた。でも、これを改めるのは相当大変だと思うんですよ。

北川 朝起きて夜寝るまでの間に、「少し変わってくれたかな」という思いと、「また元へ戻っているな」という連続で(笑)。

堀田 (笑)。

北川 要するにコスト意識やサービス意識に欠けているんです。「あなた方が本当にサービス精神がなかったら、もう結構です。隣にもう一つ県庁を私は建てます。ここは夜八時までやりますよ。土日もやりますよ。そうしたら今のこの県庁が存在するかどうかぜひ考えてほしい」と言ったり。

堀田 (うなずきながら)どうして行政のサービスが向上しないかというと、一人一人に丁寧に接してたら、当然効率が落ちますからね。うるさいもの、面倒くさいものはどんどんはね飛ばしてたくさん処理すれば、その人は能力が高いと出世する。でも、これ、民間だったら絶対できません。サービスが悪ければ文句を言われて売り上げも落ちますから、一生懸命相手の立場を考えて対処する人が出世する。まったく逆なんですね。

 

世界的に通用する基準、考え方など。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION