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利用者が介護施設の選択をするとき、今まで信頼していた医療機関と縁を切って内部に医療機能を持つ介護施設を選択するか、また自由に医療機関を選択できる介護施設を望むのか、どちらが利用者にとって有利なのか、サービス提供者である介護施設から判断材料としての情報発信が重要であり、利用者自身が結論を出せる猶予期間が必要であろう。

 

特別養護老人ホーム関係者の自己革新

 

昨年十月末に特別養護老人ホームの関係者四二人が、特養の介護サービス事業の経営支援を目的とする株式会社エオスを設立した。

介護保険の実施によって今まで述べてきたような難問、課題が山積している。従来のように一施設だけで内部体制強化を図ろうとしても不十分である。外部に委託できるものは外部ヘアウトソーシングする必要性は高い。しかし、介護サービス事業の中心部であるサービス管理機能や介護保険に対応した人材育成のためのアウトソーシング機関はなかった。これに応えようとするのが(株)エオスの設立の動機である。あと一年ではじまる介護保険制度に対応するためには当事者が設立するしかなかったのである。

会員制にして共通の課題解決に当たり、その成果を介護サービス事業にかかわる人たちと共有しようと考えている。まずサービス管理システムを中心にケアプラン作成支援のためのコンピュータソフトの開発、人材養成のための研修をする。さらに人事業務システム、財務システムの構築、会員施設の経営支援、介護情報の提供などに取り組み、「措置から契約」への時代の流れに逆らわずに施設が事業者として生き残っていけるよう徐々に体制を整えている。目標は、会員施設の共同作業の成果が介護サービス市場への貢献とつながることである。さらに特養の本来の目的である「福祉」を守り続けていきたい。

 

 

 

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