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特別養護老人ホームの医療機能

 

今年はインフルエンザによる特別養護老人ホーム入居者の大量死亡が問題になり、その医療機能が問われた。

特別養護老人ホームには、他の介護施設である老人保健施設や療養型病床群のように内部に医療機能を持たず、あるのは配置医(嘱託医)による日常の健康管理と療養指導である。常勤医のいるところもあるが、数は少なく医師の役割は配置医と同じである。要するに特養は内部に治療機能を持たない施設である。このことを特養の弱点ととらえる見方もあるが、本当は医療へのアクセスの問題である。事実、今回問題になった特養の中には医療法人が経営母体である施設も含まれていた。これは今日のわが国の医療が急性期医療を上位に置き、予防医療や慢性期医療を下位に見る体質とつながる。つまり医療が福祉を軽く見る体質を持っていることにも問題があり、こうした基本的な問題の整理が必要なことと同時に福祉と医療が対等のパートナーとしての関係づくりに努力する必要がある。

 

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デイサービス利用者と。(送迎車の中で)

 

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小学生がお年寄りの似顔絵書きに訪れる。

 

 

 

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