日本財団 図書館


今迄機会ある毎に、あんたの人生、好きな道を一生懸命生きなさいと、言っていたのに何たるうろたえようだろう。ようく考え、落ち着いて、「もう決めたんだね、ママ達は何も言わない。新しい会社で社長の期待を裏切らないように努力することね。」と言いました。

転職した息子は、本社、熊本工場、北京工場へと研修に回ったり、ホーチミン市の工業団地に建つ工場の書類、建設会社との打ち合わせと、一ヶ月の半分は国外へ出張するハードスケジュールを精力的にこなす様子を見て、少し安堵したものでした。

たまにはゆっくり家で夕食を食べた後、結婚について、どう考えているかたずねると、「僕はママ達と同居するかもしれないので、日本の女性と結婚してもいいと思うけど、ベトナム勤務は長いと考えている。ベトナムの両親との付き合いや、文化の違いが大きいので、在日ベトナム人で高等教育を受けた女の子を考えている。ママどう思う?」

「誉士、あんたの結婚だから、あんたの好きな人だったら私達は賛成よ。一度、家に連れておいでよ。」と言ったら、やがてA女子大の家政科を卒業した、息子以上に日本語の上手な明るい娘さんを連れて来ました。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION