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その時、「日本での在留資格をとっておかないと海外旅行に行って帰れなくなりますよ」と言われた。そうか、外国人としてはっきりしたわけだから日本での在留資格が必要になるのか、そうだ入管に行かなくては、と思いいたった。

平成11年4月、東京大手町の入管に出向いて事情を話すと、簡単に永住許可が得られると思っていたら「出生からーヶ月以内に届出がなされていないので不法滞在となります」とのこと。永住許可は出ないまでも何らかの許可は出るものと思っていたので、落胆は大きかった。不法滞在イコール強制退去と言われたので、「この子を強制退去してどうなるんですか」と思わず言ってしまったが、担当者にしてみればルールを説明してくれたに過ぎなかった。

東京北区にある入管第二庁舎に出向くと、目に輝きを失ったようなアジアの人たちが何人も地べたに座っていた。子どもを抱いた女性も多かった。第二庁舎は、不法滞在の人たちを取り調べるところである。不法滞在の疑いをかけられると、担当者の対応はほとんど犯罪者である。「子どもで逃げ出すおそれはないので、収監はしませんが、自宅の地図を書いて下さい」などと言われる。

 

 

 

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