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書類を提出し、今後の調査について聞くと、一人の係官が100人位の不法滞在者を担当していて、1回目の取り調べが始まるのは1年後であると言う。最終的な判断が下るのは早くても3年後。なにか方法はないものだろうかと考え、法務局を訪ねる。帰化申請の方向はないか。まず地域の出張所を訪ねるが出張所では明確なアドバイスがない。県の法務局に聞いて欲しいと言うので県に聞くと、今度は東京に相談しては、と言う。東京に聞くと、なぜ地方で聞かないのかと言う。判断は簡単なものだった。在留資格がないと帰化申請はできないということ。同様に養子縁組も在留資格がないとできない。こうなると、不法滞在にあたるのかどうかの判断を待つしかない。出生後すぐに入管に来なかったから不法滞在だと言われても、子どもの責任ではないし、私どもとしてもできるはずもなかった。外国人と判断がされたのも出生後5年も経過した後のことで、一口に外国人の生んだ子どもだから強制退去すればいい、と言っても乱暴すぎないだろうか。無国籍の状態からやっと国籍が得られたら、今度は国外への強制退去のための取り調べが行なわれる。日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話せない子どもに対して。

今、子どもの成長にとって決して短くはない3年先の判断を待っているところである。

 

 

 

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