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平成7年5月にタイの大使館を訪問。児童相談所から調査を依頼してあったはずなのに記録が見当たらないと言う。女性担当者は「いいお話があります。調べないで、自分の子にしてしまいなさい」とヘンなアドバイス。これではラチがあかないと思っていると領事の手が空いて、部屋に通された。領事のデスクは書類の山。これでは書類は出てこないはずだと思っていると、しばらくしてから「ちょっと待ってください」と言って、なんとファイルを持ってきた。調査は済んでいて、母親の父に当たる人や、近隣の人たちのコメントもあった。しかし母親は依然行方が分からない。領事は「国籍問題については家族と話して決めて欲しい」とのこと。これではどうにもならない。母親の所在が分かったら連絡をくれるようにお願いして帰ってきた。子どもを出産した母親が行方知れずでは、出生の確認のとりようもないはず。タイの政府が国籍発行に難色を示しているのも分かるような気がした。法務局は簡単にタイ大使館に行くようにと言ったが、どうにかして日本国籍が取れないものかという思いも当初からあった。それから、国籍問題もあるが出生届けには「姓不詳、名未定」となっており、せめて名前だけでも付けたいものだと考え始めた。どうしたら名前を付けられるのだろうか。

 

 

 

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