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市役所や法務局、地域の家庭裁判所支部などを訪問するがラチがあかない。法務局では家裁に相談してほしいと言い、家裁は法務局に相談してほしいと言う。どうやら里親ということではこうした問題に対する解決権限のないことが分かった。そこで、家庭裁判所に後見人の申し立てを行なった。

呼び出しがあり聞き取り調査。そして平成8年3月に後見人を認める審判がおりた。早速市役所に後見届を行ない、出生届に名前を入れた。これを追完届けというのだという専門用語も憶えた。しかし、名前は正式につけられても名字はつけられない。初めて「姓不詳、名未定」の意味が分かった。姓をつけるということはそのまま国籍の問題になるらしいと分かってきた。

平成8年4月、今度は就籍の審判請求を家庭裁判所に起こした。これについても呼び出しがあり聞き取り調査が行なわれた。すぐにも判断がなされると思っていたが、いつまでたっても判断はなされない。国籍に関わることであり、タイの大使館とも話し合っているとのこと。2年もたった平成10年の春、裁判所から審判請求を取り下げて欲しいと連絡があった。タイ大使館と話し合い、母親がタイ人であることからタイ政府が国籍を発行するのが相当との結論で、タイ大使館もそれで了承した。

 

 

 

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