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それだけこの家は、生活できないくらい苦しい毎日を送っていたのだと思います。

大きいお腹を抱えて、3歳と2歳の子を抱えて母親は朝から晩まで働いた。日に日にお腹は大きくなってくる。そして臨月に入った。母親は決めていた事があった。「赤ちゃんは家で産むしかない。」

近所にいる助産婦さんに手伝ってもらい、無事赤ちゃんを産むことが出来、赤ちゃん自身も五体満足で生まれる事が出来ました。「京子と名づけよう。」母親は赤ちゃんを"京子"と名づけました。その京子というのが、私、この著者でございます。

母親は、私を産んですぐ働きに出かけました。それも姉と兄はお寺さんに預けて、私だけ家に残したまま仕事に出かけていたのです。乳飲み子(ちのみご)の私一人家に置いてどうして赤ちゃんが一人でミルクを飲めるのでしょう。もちろん、私は永遠泣いていました。ある日、近所のおばさんがこの家の前を通った時にギャーギャー泣いている私の姿を見つけて家に連れて帰り、おしめを替えてくれて、ミルクを飲ませてくれたそうです。

 

 

 

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