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近所のおばさんは母親が仕事先から帰ってくるまで私を見ててくれました。そして、母親が家に帰ってきてから、母親の所に私を連れていってくれました。そのおばさんは一言、「この子だけ家に置いて仕事に行くのは、かわいそうだしこのまま毎日ほったらかしでは死んでしまうよ。育てることが出来ないのなら乳児園にでも預けるしかないんじゃないの。」と、おばさんは言ってくれました。

誰もこういう事を言ってくれる人がいなければ、多分私はこの世に存在してはいなかったと思います。母親は決心をし、私をある乳児園に預ける事にしました。私がちょうど生後2ヶ月の頃です。

私、乳児園での生活が10ヶ月を過ぎようとしている1歳ぐらいになる頃、子どもが出きず子どもが欲しいという、ある夫婦が私のいる乳児園に訪れて来ました。園長先生に「この子はどうでしょう。」と言われ、柴崎のお父さんとお母さんは、私に決めたそうです。その日から、私と、柴崎のお父さんとお母さんの3人家族の生活が始まりました。お父さんとお母さんはとても大切にやさしく私に接してくれました。

物心がつく頃、私は柴崎のお父さんとお母さんを本当のお父さんとお母さんと思って育てられてきました。

 

 

 

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