二、感謝
北海道十勝地区里親会 根本雄司
昭和58年12月26日は、私と根本家との運命の出会いの日であり、一生を決めた私のもう一つの誕生日なのです。
私の実の母は、私が2歳の時に亡くなり、母の面影も分からないまま成長しました。小学校1年の冬に、それまで育ててくれていた継母に連れられて児童相談所へ行き、そのまま置いていかれたのです。その時のことについては、今も忘れられません。
そして、児相の先生や皆の前ではいつも元気を装っていた私ですが、夜になると布団の中でこっそり泣いていたのです。半年に及ぶ児相での暮らしは、それまで自由に外で遊び回っていた私にとって、大変窮屈なものでしたが、厳しく、それでいて優しい先生達のお陰で何とか暮らしてゆけたのです。
寒い冬の昼過ぎ、児相の先生に呼ばれて一つの部屋に行くと、そこには見知らぬおばさんがいました。下を向いてばかりいたのか、その時の顔はよく覚えていないのですが、「新しいお母さんになる人かな。」と言うことを予感していました。