その背景には同市の人口と産業の増加があり、その結果住民の活動が盛んとなって団体の結成へと進んだわけで、表のなかのコミュニティ関係の団体もこうした流れのなかで成長してきたものであった。
しかし同市の人口は1980年以後急増から微増へ転じ、90年代からは少子化・高齢化・三次経済化・環境戦略の転換などが進んできた。
つまり都市全体が成熟段階に到達して、新しい自己組織化とそれによる「都市の変身」が始まっている。その影響は住民団体の種類や数の面におよぶことになり、成長分野では増加するが成長の止まった分野では停滞または減少がおこることになる。
すなわち3領域と12分野の構成比に変化が生じていて、これを「住民団体の変身」とよぶが、ひとことでいえば住民団体の生活化の進行がみられるのである。
「成熟」というと安定・均衡・充実という言葉がうかぶが、他方で停滞・反復・爛熟というイメージもついてくる。
ポストバブル期の長引く不況下と地方分権の時代を迎えて、都市とその団体がさらに変化するなかで、その変身を内側から支える要因としてコミュニティの活動が重要になってきている。
プロフィール
菊池美代志(きくちみよし)
昭和14年12月4日生
昭和40年3月 東京学芸大学卒業
昭和40年4月 東京学芸大学助手
昭和45年4月 立正女子大学講師
昭和51年4月 文教大学助教授、教授
昭和62年4月 帝京大学教授
主な著書
「町内会と地域集団」共著 ミネルヴア書房
「今日の都市社会学」共著 学文社
「コミュニティの組織と施設」共著多賀出版
「近代都市の社会構造―大垣市調査―」帝京社会学第12号
町内会・自治会情報誌「まち・むら」にて「町内会・自治会の道」
連載中 (財)あしたの日本を創る協会