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基調講演中の石教授

 

また、近年、温度が上昇しており、特に昨年は140年の観測の歴史の中で最高の温度を記録し、刻々と地球の温度は上がっている。その結果、例えばマラリアとかデング熱といった熱帯の病気の範囲がさらに広がってきており、私たちは既に環境の破壊、汚染によって影響を受けている。」と述べられ、「しかし、ゆで力エルと言う言葉があるが、私たちは知らない間に少しずつ悪化していく環境にはなかなか気がつかない。」との指摘がなされました。

続けて、「日本は発展し生活が便利になったが、地球が無限に人間に環境を与え、資源を与えてくれなくては成り立たない。こうして部屋を冷房して暑い日でも快適にいられるためには、どこかで二酸化炭素を出し電気を起こしている。また、紙を作るために世界のどこかで木が切られており、私たちの生活は、世界中から資源を集めることで成り立っている。豊かで快適な日常生活を追求した結果、これが地球環境問題と言われるような大きな問題になってきた。」と述べられました。

次に、この様な状況に対処するために、「ここまで膨れ上がった我々の欲求、欲望をどうコントロールするかが、これからの最大の問題、環境対策だろうと考えており、もうそろそろ私たちは立ちどまらなくてはいけない。」と生活様式の見直しを求め、「具体的には、電気の使用量を減らす、ガソリン使用量を減らすなど、私たちはまず立ちどまり、なおかつできたら後ずさりをすることが、これからの最大の環境対策だと述べ、私たちが、もう少し地味に暮らすように心がけるだけで、日本のCO2の排出量はかなり減る。」と説明されました。

続けて「いきなり私たちの生活を変えて、地球に優しい生活をしろと言ってもなかなか変わらない。ぜいたくは敵ではなくて、ぜいたくはやっぱり素敵なんです。そこで、まず無理のないところから私たちはひとつひとつ生活をスリム化していくこと、企業などそれぞれの組織体の努力も必要だし、要するに総力戦なんです。これだけ環境が悪くなったのは過去50年間やりたい放題やってきたわけで、地球がある意味では成人病みたいな状態です。その解決の手段の一つとしてISO14001は有効なものである。」と締めくくられました。

 

3 パネルディスカッション

 

●各主体の取り組み

 

市川氏は、ISOの審査に携わった経験から、「日本の企業は大変熱心にISOに取り組んでおり、環境改善だけでなく、合理化や経費削減にもつながっている。また、最近は、自治体やサービス業にも広がってきた。」と述べられました。仲手川氏からは、「環境に配慮した商品の提供、工場での廃棄物の削減、グリーン購入の推進の3点を企業の環境問題に対する役割と認識している。」と発言、環境問題への積極的な取り組みを説明されました。飯田氏からは、長年、消費生活問題に携わってきたが、「最近は消費問題の中にごみ問題、環境問題が加わってきた。豊かさ、便利さを追い求めた結果が大量生産、大量消費、大量廃棄であり今日の環境問題を招いた。グリーンコンシューマーすなわち環境に配慮した消費者活動について、消費者が商品の生い立ちから廃棄後のことまで考えて選択することにより、一人一人の買い物行動が社会を変えていく動きが各地で広まっている。」と考えを述べられました。大熊氏は、「地球環境問題に対応するためには我々の経済活動、日常生活などすべてを変えていかなければならない。そのためにあらゆる人々に環境に配慮する意識と行動が浸透する必要がある。そこで具体的な環境配慮に取り組むためのツールとしてISO14001やあるいは環境に配慮した活動が社会の中で適正に評価されるように環境ラベル、エコマーク制度、グリーン購入を支援している。」と国の取り組みを述べられました。

 

 

 

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