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町をささえるコミュニティ

 

古来より熊野は、黄泉(よみ)の国として多くの人々が訪れたのは、当時多くの神社仏閣には様々な規制があり、すべての人々が誰でも何時でも参詣できるものではありませんでしたが、熊野の神仏は分け隔てなく誰でも何時でも受け入れてくれるところだったので、上皇から庶民にいたる多くの人々が参詣しました。

ただ、伝達手段のない当時、熊野の神々の素晴らしさを全国津々浦々に広めるために、熊野の人々は比丘尼(びくに)(全国に熊野をPRして回った)や先達(せんだつ)(参詣者の道案内)、御師(おし)(接待や宿泊などの世話をする)などを使って、全国から参詣者を集め、道中では温かいもてなしで熊野に導いたと言われています。

古来より多くの人々の地道な活動に支えられたこの地方の心は受け継がれ、現在も「温かいおもてなし」で幅広い交流と連携が図られています。

町では、平成元年度に交付されたふるさと創生資金を活用し「心豊かなまちづくり推進事業」を創設、以来多くの地域組織や団体、小グループに対して助成措置を行っています。

 

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日本一の那智滝

 

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商工祭−南の国の雪祭り−

 

それぞれ組織形態や活動内容に違いがあり、その目的も様々で、町づくりや機関紙の発行、先進地の視察、伝統文化の継承、美化活動やゴミ問題、環境問題、花いっぱい運動、福祉関係、イベント開催や趣味を生かしたまちづくりなど多種多様にわたるものでありますが、延べ100を超える組織や団体、グループに3,000万円を超える助成を行ってきました。(視察研修には15万円以内、その他には30万円以内)

これらの地域組織や団体、グループに支えられ町では、夏には花火大会や町民総踊り、秋にはあげいん熊野詣(蟻の熊野詣での再現)、町展(生涯教育の発表の場)と農産物品評会、冬にはマグロまつりと商工祭など町全体の大きなイベントをはじめ地域単位の小さなイベント、また各地に残る獅子舞やお弓行事などの伝統芸能が披露されるお祭りも盛大に実施されています。

 

南紀熊野体験博とコミュニティ活動

 

本年4月29日から開催されている南紀熊野体験博では住民の参加をコンセプトとして、各種のイベントづくりが行われましたが、イベントの企画はもちろんのこと、おもてなし分野での住民の参加が多く行われています。

湯茶の接待や案内をするグループ、熊野古道沿道を始め国道や駅周辺を飾る花の育成管理、訪れるお客様に対する接遇の研修など住民各階層や地域のグループを始め婦人グループ、青年のグループ、あるいは職場や各種団体のグループなど一丸と成って温かいおもてなしをすべく活動しています。

南紀熊野体験博は、和歌山県南部の16の市町村が9月19日までの期間中にそれぞれの町の特色を生かした様々なイベントを企画するとともに、既設のイベントの強化を図り、囲い込み型のイベントではなく日本で初めてのオープンエリアの博覧会となっています。当然多くの人々が訪れ、地域の人々とのふれ合いの中で、南紀熊野の素晴らしい自然の中でも忘れかけていた心のゆとりや豊かさを呼び起こし、元気を出していただこうとするのが狙いであります。

 

 

 

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