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30. 直接契約

 

30.1 はじめに

 

30.1.1 この指針において言及されている直接契約は、当局と優先債権者との間の合意で、事業者のデフォルトを理由とする終了、もしくはその恐れがあった(【20.2 事業者のデフォルトの作為の終了】を参照のこと)後の、これらの、利害関係を持つ当事者の間の関係を扱うものである。【28. 当局の介入】において言及されているとおり、同章において詳述されている権利とは、まったく異なる。

 

30.1.2 優先債権者が懸念するのは、優先債権者は保証されたキャッシュフローに依拠してプロジェクトに出資したにもかかわらず、契約(これにもとづき、これらのキャッシュフローが支払われるものと合意されている)が終了すると、優先債権者がその出資の安全措置として有するのは、下請業者、および事業者の口座中の金額についての権利のみとなることである。多種多様な保証付き融資の一つとして資産の売却があるが、これが行われる場合もあるが、上意貸主はふつう資産売却の権利は持たない。優先債権者による出資額は、優先債権者がこのようなプロジェクト資料にもとづき請求を行うことにより回収されるが、満額回収に至らないプロジェクトが多数である。資金提供者が、例えば法人保証により、保護されているかぎり、もしくは資金提供者がプロジェクトで用いられた資産の代替的利用からある種の収益を実現する可能性があるかぎり、このような資料は必要ないかもしれない(もしくは、必要であるにせよ、単に矯正の機会について定めるだけですむ)。

 

30.1.3 しかしながら、直接契約が必要とされる場合、このような文書はその中で優先債権者に終了前にプロジェクトを“復興”させる機会を与えるため、公共部門ではこのような文書がますます有利な合意とみなされるようになりつつある。サービス提供に最低限度の中断があっただけでプロジェクトが復興されるので、当局が関与してプロジェクトの復興を確実化したする必要がないのであれ、当局と優先債権者は双方とも利益を得る。

 

30.1.4 要となる問題は、事業者により負担されてきたか、もしくは現在負担されている補償責任を、優先債権者はどの程度、肩代わりする義務を負うか、であり、また優先債権者が事業者に代わって違反の矯正を行う機会を、どの程度与えられるのか、である。

 

30.1.5 この発生に関連する、その他の問題は、その一例を挙げるなら、優先債権者の補償責任はどれほどの期間、継続すべきか、あるいは介入時に存在する、終了する権利はどのようなものか、あるいは優先債権者が持つべき“売却”する権利、もしくは下請業者を交代させる権利はどのようなものか、などである。

 

30.2 優先債権者の補償責任

 

30.2.1 優先債権者は、“介入”する(すなわち、契約にもとづく権利を得る)限り、事業者と同程度の義務を負うべきだという主張は、議論の余地があるかもしれない。これはある部門においては進化して、“介入の約束”という結果を生んだ。これにもとづき、優先債権者は、プロジェクトを救おうという試みの代価として、ある程度補償責任を負う(必ず上限がある)ことに合意する。

 

 

 

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