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(f) いかなる場合も、裁定人は、両当事者に対し、紛争についてのみずからの裁定を書面により、指名から28日(もしくは、当事者が仲裁人に付託した後に合意したとおりの期間)以内に提供するものとする。裁定人は、みずからの裁定の理由はいかなるものも明らかにしないものとする。裁定人の裁定は、当局により改訂、撤回もしくは変更されないかぎり、かつ当局による改訂、撤回もしくは変更の時点まで両当事者を拘束ものとし、両当事者はその裁定をただちに実行するものとする7

(g) 裁定人の費用は、いかなる委託についても、裁定人の指定するとおりに、もしくはこのような指定がなければ両当事者により等分に、負担されるものとする。各当事者は、裁定人への委託から生じた、みずからの費用を、法律費用ならびに証人の費用および支出を含めて、負担するものとする。

(h) 裁定人は仲裁人ではないとみなされるものとするが、専門家としてみずからの裁定を言い渡すものとし、かつ『1996年仲裁法(the Arbitration Act 1996)』および仲裁に関連する法律の規定は裁定人もしくはその裁定もしくはその裁定に到達する手続に適用されないものとする。

(i) 裁定人は、公平に行為するものとし、かつ事実および法律を確かめるために主導権を握ることができる。裁定人は、意見、証明書、指示、決定もしくは裁定が、本契約8にもとづき、いかなる性質が与えられているにせよ、それらを利用できるようにし、かつ再検討および修正を行う権限を有するものとする。

(j) 当事者により、裁定人に対し、その者が裁定人として指名された結果として、もしくはそれに関連して、開示されるか、もしくは引き渡された情報、データもしくは典拠資料はすべて、秘密情報として取り扱われるものとする。裁定人は、第25章(秘密情報)により許可された場合をのぞき、いかなる人もしくは会社にも、情報、データもしくは典拠資料を開示しないものとし、かつこのような情報、データもしくは典拠資料はすべて、それらを開示するか、もしくは引き渡した当事者の財産として留まるものとし、かつすべての写しは、裁定人の業務が完了し次第、このような当事者に返却されるものとする。

 

7 このプロセスのタイミングは、『1996年住宅供給助成金・建設・再生法(Housing Grants,Construction and Regeneration Act 1996)』において定められている迅速な手続に適合する。この迅速な性質は権利主張者にとって有利であるが、それは被告は時間的に切迫した状況下でみずからの主張を準備するからである−─第27章(e)を参照のこと。当事者は、予見される、あらゆる種類の紛争のために時機が適正かどうか検討し、かつ必要であれば契約書の標準的草稿を修正すべきである。

8 実際こうなるべきであるが、ただし当該意見、保証書等が拘束力を持ち、確定的であるべきだとして、当事者が合意する場合はこのかぎりではない。

 

 

 

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