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経済性テストに優先債務のデットサービスカバーレシオを含めるプロジェクトもあるが、これは推奨されない(デットサービスカバーレシオは、業績の毎年の一時的状態を表しているにすぎず、それはここには適さないからである)。経済性テストが適用されるべきでない保険の保険金の下限の金額を指定する必要はまったくない。このテストはいかなる場合も、壊滅もしくはほぼ壊滅の事例にのみ適用されるべきだからである。

 

24.7.4 プロジェクト経済性テストの結果、優先債権者が保険金の取得を認められた場合、事業者は、資産を現状復帰する義務を負ったままとなる。財政的にそうすることが不可能である公算が高いが、そうなった場合、契約の違反となり、当局は事業者のデフォルトを理由に契約を終了するのが通常の方法である(【20.2 事業者のデフォルトを理由とする終了】を参照のこと)。その時、当局は新たな競争を介して、資産を再建することができる。

適切な契約書草稿は、以下のとおりである。

経済性テスト

(a) 単一の出来事において資産のすべてが破壊もしくは実質的に破壊し、保険金(事業者にとって利用可能な、その他の資金とともに取得される場合)が、資産の修理もしくは現状復帰に必要な金額と同等かそれ以上である場合、事業者7は、(資産が第24章第6条(c)にしたがって修理もしくは現状復帰されることを前提に)優先債務のローンライフカバーレシオ8を計算する9ものとする。

(b) 上述の(a)において言及された計算の結果、優先債務のローンライフカバーレシオが[デフォルト事由]と同額か、それ以上の場合、事業者は、第24章第6条(現状復帰)において詳述されている手続きに従うものとする。

(c) (a)および(b)に記載されている諸条件が満たされない場合、金額は以下のうち少額の方に等しい額が、第24章第6条(b)において言及された口座から引き出されて、事業者にわたるものとする10

(i) 保険金

(ii) 未払いの優先債務11

 

 

7 計算は、資金調達契約においては、優先債権者によって支配されるが、当局によって、この計算が現状復帰を認めるというチェックが行われる必要がある。

8 これは、予測収入を配分することによって導かれる。

9 これがどのようになされるべきかについては議論がある。優先債権者はその利益が保護されている立場なので、銀行財務モデル(the banking financial model)に記載されている公式は、これが正確にどのように機能するかについて合意がなされ、かつこれが契約中に記録された後に用いられるべきである。

10 これは上位貸し主への支払いが保証されている口座に放出される金額を意味し、上位貸し主はこのような金額を優先債務の前払い金に充当する。

11 この債務から、保険金の振込先口座の貸方に据え置かれている金額が除外される。

 

 

 

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