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同様に、安全保障に関わる微妙な問題をはらむプロジェクトの場合、安全保障に関わる特別の規定に対する違反が含まれるかもしれない。一般的には、事業者の支払い違反を事業者のデフォルトとして含める必要は無い。なぜなら、事業者の支払い義務は限られており、当局は相殺することが可能なはずだからである(【11. 支払いと相殺】を参照のこと)。しかし、特定のプロジェクトにおいては必要となる場合もあるかもしれない。(例えば、多額の第三者からの収入があるプロジェクトの場合)

 

20.2.2.3 一般的には、破産に関わるデフォルト事由を下請業者もしくは事業者の株主にまで拡大するべきではない。なぜならば、このような破産が発生しサービス履行が影響を受ける場合、事業者は当該下請業者を交代させるよう動機づけられているからである。例外としては、契約によってこのような下請業者が、事業者(もしくは当局)に対し通常では考えられないほどの重大な金銭上または契約上の義務を負っており、なおかつこのような義務に釣り合う後任の業者を見つけることができない場合が考えられる。

 

20.2.2.4 解約は、矯正手続(【20.2.4 矯正】を参照のこと)および直接契約にもとづく優先債権者の権利【30 直接契約】を参照)を条件とするべきである。累積した業績ポイント業績ポイントが、後任の事業者の任命に際して変更されるべきか否かという問題もまた考慮に入れられるべきである(【9.5 業績監視の妨害】を参照のこと)。

 

20.2.2.5 デフォルト事由は相互に排他的ではない。ある事由における違反が同時に他の事由違反となることもある。(業績ポイント例えば、業績ポイント限度違反)

 

20.2.3. 事業者の継続的違反による解約

 

20.2.3.1 契約は、微々たる違反であれ、事業者による違反のいかなるものについても、何らかの方法で、事業者を動機づけるべきである。軽微なデフォルトの継続的な発生を取り扱う方法は多々ある。推奨されるアプローチは、あらゆる種類の軽微なデフォルトに関連して業績ポイントを課すことである。これは、業績ポイントの総点が一定レベルを超えた場合に契約を終了する権利と併用される時、事業者を動機づけるうえでとくに有効な方法である(上記を参照のこと)。

 

20.2.3.2 どんな場合でも、全方位の業績ポイント体系を取り決めるのは、実現不可能かもしれない。こうした体系をとると、当局は軽微な違反が継続的に発生するか、もしくは矯正されないまま放置されているが、サービス料水準になんの影響力も持たないため、当局は事業者の監督権を少しも持てないか、あるいは事業者は履行を行わず、(不正確に算定された)減額を受ける方が安上がりだという状況に身を置くことにさせられるかもしれない。このような状況において、当局は、業績ポイントの一定数を超える発生を終了の契機とするより、むしろ継続的な違反を理由として契約を終了する権利を保持すべきである。事業者とその資金提供者は、“極めて些細だが、契機となる”デフォルトを回避することを切望し、このデフォルトに関連するメカニズムが主観的でないことを確実化しようと望むだろう。既に確立された業種では、支払いと業績メカニズムが発達しており十分効力を発することがわかっており、このような規定の必要性は少ないだろう。

 

 

 

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