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これは、契約の最後に資産価値に関連した終了時支払いが行われる場合、事業者は最後まで高水準のサービス提供が維持されるように確実を期すだろうという議論である。しかし、この主張は、サービス提供に対する支払いと資産移転に対する支払いの目的を混同している。なぜなら、資産が非常に良好な状態に保たれていたとしても、提供されるサービス水準が低いこともありえるからである。16

 

19.6.2 支払いメカニズムは、契約のすべての段階においてサービス提供の水準が維持されるように事業者を動機づける手段となるべきである。サービス提供につき再度競争が行われるなら、事業者が当局の必要条件を契約の最後まで満たし続けようとするさらに別のインセンティブとなるだろう。

 

19.6.3 代替用途のない資産の場合に事業者がサービス水準を維持するように動機付ける方法の一つとしては、当局に対し当初の事業者との間で第二次契約を締結するオプションを与えるように契約で定めることがあげられる17。これは、終了時支払いを支払う必要なしに、支払いメカニズムによるインセンティブに加えて契約満了までサービス水準を維持しようと事業者を動機付ける方法となる。この場合、当局がオプションを行使した場合、事業者は強制的に第二次期間の契約を締結する義務を負う。しかし、当局のこのようなオプション行使の決定は、他の入札者との間で一般競争入札を行った場合と比較して行われる必要がある。この方法の一つの欠点は、このような通常の契約期間に付け加えられる可能性のある第二期のサービス提供に対して、当初契約の入札時に価格をつけることが大変困難であることである。せいぜい第二期のサービス価格の算定メカニズムを設定しておくぐらいが関の山である。もちろん当局は、他の事業者と契約したほうがバリューフォーマネーが出るのであればそうしてもよい。その場合は、新事業者は資産の取得価格も含めて入札を行うことになる

 

16 終了時支払いは、情報システム関連プロジェクトにおいて設備更新を維持することを事業者に動機付けする有効な方法であることが証明されている。これについては情報システムガイドラインでより詳しく述べられている。

17 【2.2.1】および【19.2.5脚注4】参照のこと

 

 

 

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